「マッティ、旅に出る。」について旅先で考えた話。
フィンランドの本「Finnish Nightmares」を日本で出版したのが2017年4月末。
『マッティは今日も憂鬱 -フィンランド人の不思議』というタイトルで発売した日本語版は、当初「絵本なの?マンガなの?」「海外文学なの?コミックエッセイなの?」という若干の戸惑いをもたれながらも、徐々に日本のなかに居場所を見つけてくれた・・・。そんな気がした。マッティが「てるてる坊主みたい」とか、「栗まんじゅうみたい」とか、色々言われてました。(私は「水泳帽を被っている人」をなぜか思い出すのですが・・・)
しかし、そうはいっても、まさか第2弾が出ることになるなんて!
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写真は今年(2017年)初秋のフィンランドにて。原書を抱えて、ひとけのない森にこもっていました。
・・・なんて書くと、ホテルで缶詰になって執筆する大物作家みたいですが(森にこもって執筆だなんて素敵すぎる)、もちろん、そういうのでは、ありません。ただ、私は、ある日、静かな決意と流れに身を任せ、ひとり、フィンランドへ行き、それは北部ラップランド地方の人里離れた場所で、マッティ本を小脇に抱えて、森を歩いていただけです。途中で、野生のトナカイに遭遇したり、ものすごい勢いで蚊(及びさらに強靱な昆虫)に刺されたり、おびただしい数のキノコを激写したりしていました。農場の牛にじっっと集団で見つめられたときは、一瞬「今、牛に襲われたらどうしよう誰も助けてくれない」という悪夢が脳裏をよぎりましたが・・・。(牛は黙ってタダ見つめるだけで、何もしないしモーとも言わなかった。)
それもこれも、Finnishness(フィニッシュネス:フィンランド(人)らしさ)をじかに感じるため・・・
マッティは静けさが好き。
ほかにも、好きなもの、じつは、たくさん、ある。
フィンランドの森はどこまでも静かで、私を排除するでも歓迎するでもなく、ただやさしく、そこに、ありました。白樺の幹は降りたての雪のように白く、光が差すときらきらと輝いて見える。
「いたければ、いつまででも、いればいいんだよ」と、森の静寂は私に言ってくれているようでした。
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成田を発ってから機内モードで「ただの静かなカメラ機」と化した私のiPhone。しかし日本にいる方丈社(マッティの出版社)の方たちが、「現地写真(できればwithマッティ)を送って〜」とのことだったので、ある晩、一瞬だけコテージのwifiにつないで、一瞬のうちにメールを送りました。そして、即、機内モードへ。。
静寂が静寂すぎて、コテージの壁時計が放つ秒針の音が、いちいち心臓に響いた・・・。
夜。私が寝ている間、コテージの屋根を1枚挟んだ先の上空には、壮大なオーロラが輝きまくっていた。・・・ということを、翌朝、宿のご主人から知らされたのですが、聞かなかったほうが良かったかもしれません。眠気に負けた私よ・・・ 見ようよ、空!!探そうよ、オーロラを!!
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そんなことがあった日から数ヶ月後の今日です。Finnish Nightmares 2は、『マッティ、旅に出る。やっぱり今日も憂鬱』という日本語タイトルで、発売になりました!
タイトルの通り、今回のマッティは、旅に出ます。
職場やご近所づきあいの「憂鬱」を描いていた前作に比べると、新しい場所で、新しい一面を見せてくれています。前作同様に、「わかるなあ」という共感ありつつ、「マッティ(フィンランド人)は、こういうのが、好きなんだね」というのが伝わってくる。
目立つことが苦手、馴れ馴れしいのが苦手、人を押しのけるのが苦手、人の平穏をジャマすることが苦手。
そんなマッティの憂鬱と、そして、いかにもフィンランド的な日々の過ごし方・・・というのを一緒に体験してもらえるのではないかと思います。
新しいマッティも、どうぞよろしくお願い致します。☕️
<追記>
11/26(日)18:30-東京・谷中のひるねこBOOKSさんでトークイベントがあります。フィンランドとマッティのことが大好きだという店長・小張さんと私で、マッティのこと、フィンランドのこと、いろいろお話しする予定。1席空きが出たそうなので、気になる方、申し込み方法など詳細は、こちらから↓
http://hirunekodou.seesaa.net/article/454469666.html?1511253563