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Haruka Yanagisawa / ライター&翻訳業/ 北欧、キャリア、働き方、ジェンダー、コミュニケーションなど

フィンランドは読書大国?ヘルシンキに新しい図書館がオープン!

フィンランドは読書大国?ヘルシンキに新しい図書館がオープン!

2018年12月5日(水)にフィンランドのヘルシンキに新しい中央図書館がオープンするとの知らせが入って来ました。図書館の名前は「Oodi」(オーディ)。

フィンランドの図書館といえば、建築好きな方であれば、アルヴァ・アアルト設計のロヴァニエミ市立図書館をご存知かもしれません。

今回オープンする「Oodi」は、ヘルシンキ中央駅から徒歩10分という好立地なので、その利便性ゆえ、今後のヘルシンキ観光の名所の1つになりそうです。

「Oodi」はフィンランド語で「頌歌(しょうか)」という意味。一般公募の中から選ばれた。

「Oodi」はフィンランド語で「頌歌(しょうか)」という意味。一般公募の中から選ばれた。

「Oodi」のデザインは、ヘルシンキに拠点を置く「ALA-Architects」によるもので、 アアルト大学のメイン館 のほか、国際的にプロジェクトを手がけている建築事務所です。建物の外装は、最上階を除きすべて木が使われています。

実は私が翻訳を手がけた『フィンランドの幸せメソッドSISU(シス)』の中でも、この図書館の話がちらりと登場しています。本書の中では、「現在、建設中で・・・」という説明で登場していたので、翻訳作業中はオープンしたら行ってみたいなあと思っていました。それがいよいよ現実のものになったのだと思うと、感慨深いです!

「Oodi」はフロアごとに特徴があり、1階は、カフェや映画館、イベントホールなどがある交流のフロア、2階は仕事や学びのためのフロア。3階は本の楽園をイメージ。子どものためのキッズスペースは3階にあります。

「Oodi」はフロアごとに特徴があり、1階は、カフェや映画館、イベントホールなどがある交流のフロア、2階は仕事や学びのためのフロア。3階は本の楽園をイメージ。子どものためのキッズスペースは3階にあります。

「どんな職業の人もよく本を読む」フィンランド

ところでフィンランドは、2016年に「世界で最もLiterateな国」(world's most literate nation)ランキングで第1位に選ばれています。このランキングは、国民の読み書き行動や、それを支援するリソース(図書館や新聞など)の豊富さを指標に入れていて、フィンランドが1位、2位はノルウェー、3位アイスランド、4位はデンマークという結果でした。

実際、フィンランド統計局のデータによると、人口約550万人のフィンランドには、737の公立図書館があり、年間190万人が本を借りています。(ちなみに日本の公立図書館の総数は、フィンランドの約4.5倍の3296(日本図書館協会の2017年総計より)。人口はフィンランドの約20倍(1.2億人)にもなりますから、なるほど、フィンランドは1人あたりの図書館の数が多いんだなーというのがわかります。)

『フィンランドの幸せメソッドSISU(シス)』の中でも、「職業や社会的階層に関係なく、フィンランドの人々は誰もがよく本を読む」といった記述があったのが印象的でした。


ネットが普及しても、読書熱は変わらず

日本のフィンランド大使館も、「読書を愛するフィンランド人」なる記事を配信しています。2014年のこの記事では、「読書の人気はインターネットの影響をそれほど受けていない模様だ」と語り、さらに次のように続きます。

むしろ、購入される本の部数は現在、ネットが広く普及する前の1995年当時に比べて著しく増えた」と。


インターネット普及前よりも本の購入部数が増加?!

驚きです。もちろんこれは2014年の記事なので、正確には最新の読書事情を知る必要があるわけですが、『フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)』の著者の書きぶりからしても、「フィンランド人は読書好き」という傾向は健在という印象を受けました。「本を読むことや、教養を身に付けることは生きていく上で大事なことという価値観が社会に根付いている」という指摘もなされていました。

ネットに押されて本が読まれなくなった・・・というイメージを持っていた私は、上記の事実に驚いたのですが、しかし考えてみれば、ネットが普及したからといって、本で得られる体験をそのままネットから得ることって現状できないですよね。長くて難解な本と格闘して1年とか3年かけてやっと読み終わる・・・みたいなことが、本ではあります。ですが、ネット上でそういう場所を見つけることはできていない。忍耐を必要とする読書体験、それはネットに取って代わられるものではないと思うのです。

だから、「時代とともに本を読まなく・買わなくなってきている」という現象はすべて「ネットの普及のせい」というわけはなく、社会に浸透している価値観や教育も関係しているのでは、という思いがよぎります。

「Oodi」は3階建て。写真は2階部分のイメージ。

「Oodi」は3階建て。写真は2階部分のイメージ。

「Oodi」のコンセプトは、人々が交流するリビングルームであり、すべての人々に開かれた文化の発信地。

旅行でヘルシンキを訪れる際にはぜひ図書館に足を伸ばして、北欧のウッディな建築と、人々と本との関わり方を感じてみたいです!


<ヘルシンキ中央図書館「Oodi」>

 開館時間: 月-金 8時〜22時 / 土・日 10時~20時

 住所:Töölönlahdenkatu 4 00100 Helsinki

 公式ホームページ:https://www.oodihelsinki.fi/en

フロア案内はこちらから(英語):https://www.oodihelsinki.fi/en/what-is-oodi/the-facilities-and-functions/


追記:2019年初夏に、実際に行ってきました↓




↓こちらは、アルヴァ・アアルトが設計したロヴァニエミ市立図書館の様子。いつか行ってみたい。

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